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投資用マンションを売り出す際の相場観はどのように考えればいい?期待利回りと合わせて解説

投資用ワンルームマンションを売り出す際の価格相場観のとらえ方について解説をします

いま、自分が持っている物件を売り出そうとしたら、どのくらいの価格で売れそうなのか、の大まかな目安を確認するための考え方です。

参考にしてみてください。

相場の計算方法

市場の相場観を考えるにあたっては、「投資用物件」は人に貸して収益を得ることが目的となりますので、得られている手取り家賃収入を投資家(購入者側)が期待する利回りで割り戻すことで、相場目安を確認するのが一般的です。

式であらわすと、次のようになります。

 

市場の売却想定価格 ≒ 得られている手取り家賃収入 ÷ 投資家の期待利回り

この分子部分の『得られている手取り家賃収入』は、「家賃」から管理費や修繕積立金などキャッシュフロー上にみえる経費を差し引いたものです。

また「家賃」とは、通常は実際に入居者が支払ってくれている家賃をつかいますが、実際の家賃が相場と大きく乖離しているときは、周辺家賃相場に引き直して試算することになります。

分母部分の「投資家の期待する利回り」とは、投資家が物件を購入するにあたり、このぐらいの利回りは欲しいよね、と「希望する利回り」と読み直してもよいと思います。

個別物件の期待利回り

個別物件に対しての期待利回りは、その時々で不動産投資全般に求められるものを基準として、おおまかには「地方なのか都心部なのかといったエリア」や「木造なのか鉄筋コンクリートなのかといった構造」によって違いがでてくるもので、細かくみれば同じ東京ワンルームマンションでも、築年数や立地、管理状態などによっても異なってきます。

たとえば、同じ100万円の手取り家賃が取れていたとしても「あまり聞いたことのない駅の徒歩20分で築30年の物件だったら利回り5%は欲しいけど(5%以上を希望するけど)、京王線明大前駅の徒歩10分で築20年だったら利回り4.3%あれば充分かな(4.3%以上を希望する)」といった感じです。

同じ100万円の手取り家賃が取れていても、前者なら利回り5%となる価格でなければ買いたくないが、明大前なら利回り4.3%になる価格でも買いたいよ、ということです。

ちなみに前者の市場想定売却価格は100万円÷5%≒2,000万円、後者だと100万円÷4.3%≒2,325万円ということになります。

想定する期待利回りによって、想定価格が大きく変わってくることが分かると思います。

期待利回りの参考情報

おおまかな期待利回りの参考情報が確認できるところでは、ワンルームは1棟もの築5年未満のみ、と最上級の条件のみを対象にしたものですが、「一般財団法人 日本不動産研究所」が半年ごとに投資家へ調査を行った内容を公表しています。
(関連リンク:一般社団法人 日本不動産研究所)

東京ワンルームマンションの期待利回りはここ数年おおまかには4%~5%ぐらいとなり、全体的にはその時々の市況や金利情勢また投資家心理によって変化するものですが、個別物件としてはその築年数や立地等で、どのくらいの期待利回りで割り戻して考えるのかは、その都度精査する必要があると言えます。

とは言っても、自分で持っているマンションの家賃や建物管理費、修繕積立金は分かっているものなので、この期待利回りに多少幅をもたせることで、投資家自身が自分のマンションの大まかな相場観を確認することは、そこまで難しいことではありません。

逆にマンションオーナーなら誰もが経験している、自宅に大量に届く不動産業者からのダイレクトメール。
「あなたの物件を〇〇万円で購入したい人がいます」といった、家賃や建物管理費等の額を知らずに物件価格を提示しているものの信頼性がいかに低いものかが分かると思います。

関連お役立ち情報:
自宅に届く「○○万円であなたの物件を買いたい人がいます」というダイレクトメールの信頼性について。

売り出し方のおすすめ方法

教科書どおりでいうと計算上は、市場の相場観はこのように考えますが、実際の売り出しの際には、こういう試算で見えてくる目安よりも、高めで売り出しを開始することをおすすめしています。

その理由は、(よく言われることですが)不動産は同じものが2つとなく、似たような物件はあったとしても立地、建物の特性、部屋の形状や位置など、一つひとつの物件はそれぞれ個別性をもっています

また購入を検討してくれる側の投資家も、投資に対してそれぞれの考えかたや視点をもっています。

ある人は投資物件を初めて購入するため数字よりも安定性を求めるかもしれませんし、あるベテラン投資家は入居者が退去した後のバリューアップの可能性まで見込んで物件の価値を測るかもしれません。

たとえば物件Aと物件Bは同じようなエリアにある同じ位の築年数の物件で、投資家Hはどちらにも特別な魅力を感じないので数字のみで判断します。

一方で投資家Iにとっては2つの物件の内、物件Bだけは何かしらの嗜好や注目している視点で、ほかの物件とは代えがたい魅力を感じる物件で、数字以外の部分で購入を決めるかもしれません。

売り出し始めは相場よりも少し高めに売り出すことをおすすめする理由はこういったところにあります。

立地や築年数などでおおよその相場観というものがあったとしても、その物件が売れるかどうかはたった一人の購入希望者が手を挙げてくれるかどうかで決まります。売り出した物件に特別な魅力を感じてくれる購入希望者が存在している可能性をふまえて、一定期間はチャレンジングな価格で様子をみるのです。

売り出しを開始すると、パートナーである仲介業者はレインズに売り出し情報を登録します。すると、全国約12万の不動産業者が、その情報を取得できることになります。その状態で一定期間経てば、その物件情報は全国の不動産業者を通じて、あらゆる投資家へ届いているはずです。それでも込み入った問い合わせがほとんど入らないなど、売れる気配が感じられないようなら、価格を見直せばよいのです。

売り出し方の懸念点

「売り始めは高めにスタートして、あとから価格を下げていくと、何かしらの不具合など特別な事情があるから売れ残っているのでは…と購入者側から勘ぐられ、かえって売れにくくなるので得策ではない」などと、一部の不動産業者が言うこともありますが、本当でしょうか?

一日の取引件数がエリア全体で数件、といった地方の話なら分からなくもないですが、常時1,000件以上の売り出し情報のある東京ワンルームマンションの場合には当てはまらないと考えてよいでしょう。

よくも悪くもあなたが売り出す物件も数多くある物件のなかの一つにすぎません。あなたが売り出した物件がいつから売り出されていて、売り始めの価格からいくら価格を下げたのかを把握している買主候補はほとんどいないでしょう。

まずは高値で売れるチャンスを遠慮なく追いかけた上で、その後で価格を下げていく戦略をとりましょう。

結果としては、相場目安内での成約となる可能性の方が高いですが、それでも売却を終えたときの、「もっと高く売れたのではないか…」という、後ろ髪を引かれる思いをすることはなくなります。

弊社代表の寺内(プロフィール)が、個人所有の物件を売るときも、いつもこのやり方を取っています。

ワンルームマンション売却時の譲渡所得税について知りたい方は、こちらをご覧ください。

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