よくあるご質問

ワンルームマンションの売却で手元に残る現金の意味とは?投資の見直しはいつするべき?

手残り現金=投資資金

ワンルームマンション投資を続けている中で、売却し利益を確定させることは、有効な出口戦略の一つとなりえます。
購入してから5年を超えている物件なら、市況を見据えつつ、信頼できる業者を通じた正しい売却手法を活用することで、売却価格からローン残額、手数料や税金を差し引いて一定の現金を手元に残せるケースは少なくありません。

この売却したときに手元に残る現金とは、(ある意味において)売却しなかった場合にその物件に投資されている現金と置き換えてみることができます。

別の言い方をすれば、マンション経営をしている投資家は、持っている物件を売却しないかぎり、資産形成や将来の安定収入、生命保険、資産分散効果などを目的に、一定の現金をその物件に投下し続けているということになります。

マンション経営を実践している方は、実際に売却するかしないかにかかわらず、この売却したとすると手元にいくら現金をつくることができるのかつまりいくらの現金をそのマンションに投資しているのかを定期的に確認することをおすすめします。

投資に費やせる『時間』と『資産』は限られている

そもそも投資家は、なにかしらの望んでいるゴールに向かって、一定の時間をかけて、自分の資産を運用しているわけです。

たとえば、35歳の方が、1年間に投資に回せる資金を50万円ぐらいと見込んでいるとすると、「30年後の65歳くらいまでには、老後に不安がないように2,000万円ぐらいにしておきたいなぁ」といった感じで、貯蓄と運用を続けるのです。

そして、その投資家が使うことのできる時間(たとえば30年間)資産(たとえば50万円/年)は、言うまでもなく有限なものです。

時間

もっとも、『時間』については、投資と呼ばれるものの多くが自分自身の実労力を大きく割く必要がないため、有限とは言っても同時並行して活用することができるものです。
投資を行うことのメリットとして、本業以外の複数の時間軸を活用できるようになると表現されたりもします。

たとえば、ある投資Aは、それが規模の大きすぎない不動産投資もしくは株式投資であるなら 、会社勤めの方が本業と並行して取り組むのは難しくないはずです。
さらには投資B、投資Cといった別の似たような投資を同時に行うこともできるでしょう。

それでも1人ひとりの投資家にとって、投資に費やすことができる期間が限られていることに変わりはなく、一般的には20代から60代前半ぐらいまでが、投資適格年齢などと言われたりします。

資産

一方で、『資産』のほうはもっとわかりやすく「限られている」ということがイメージできると思います。
不動産投資では融資を使って資産を膨らませることもできますが、当然ながら限度はあります。

仮に1,000万円を現金で持っていたとして、その1,000万円を株式投資に投下したのなら、別の投資先としての投資信託へその1,000万円を同時に当て込むことはできません。

当たり前のことですが、投資Aを選択している場合、『資産』が限られているものである以上、私たちは投資Bまたは投資C、投資Dといった他の投資を放棄しているのです。

マンション経営でいえば、所有しているマンションに投資しているであろう現金資産とは、少し大げさですが、他の選択肢を犠牲にして投資しているとも言えるのです。

そして、この他の選択肢を犠牲にしてまで、そのマンションに現金を投資していることが、その投資家にとって自分が目指すゴールのために最適かは、「投資している現金がいくらで」それに対して「どのぐらいの収益や効果を得られているか」がわかって、初めて検証することができるものです。

たとえば、持っている物件を売却したことによって手元に残る現金が500万円と試算できたとします。これは、その物件に500万円を投資していることを意味します。

それに対して、今得られている収益や効果はその投資に見合うものでしょうか。色々な視点があると思います。

 

500万円の投資に対して、今得られている月々のCFは充分と言えるか?

 

500万円の資金があるなら、もっと有利な投資先があるのではないか?

 

500万円を活かして、もっと有利なローンが使えるのではないか?

 

将来実現したいゴールは、今の投資をこのまま続けていく延長線上にあるのか?

などなど……。

こういった、現在進行中である自分の投資内容を確認し直すことを、中間分析と呼びます。

そして、この中間分析をする上で欠かせない、売却したとして手元に残る現金、つまり、そこに投資されているであろう現金のことを投資基礎と言います。

売却を想定し手残りの現金を試算することは、この投資基礎をはっきりさせることであり、それは投資家それぞれが自分の投資の現在の状態を見つめ直すことにつながります。

こういった意味で、実際に売る売らないにかかわらず、マンション経営を実践している投資家にとって、売却を検討すること自体に一定の意義があると私は考えます。

投資基礎』と購入時に使った自己資金との違い

ここで強調しておきたいのは、投資基礎は、その物件を購入したときに使った頭金などの金額とは異なるということです。

当然とも言えますが、購入当時に使った頭金などは、その時点での投資資金にすぎず、所有してから一定期間経ったときに売却して手元に残る現金とはまったくの別物です。

所有している間、市況が刻一刻と変化することで物件の価格は影響を受け、ローンの残債は時間の経過とともに減少し、その物件へ投資していることになっている現金は変わり続けています。

購入当時に「頭金50万円、登記諸費用50万円」の合計100万円で投資をスタートしたので、「5年経とうが10年経とうが、自分が投資した資金は100万円のみ」と考えるのも、「実際に財布から出したお金がいくらなのか?」という見方で言えば、間違いではないでしょう。

ただ、限られた時間と資産を使って最適な投資を行うために、「今この時点でどのような投資をしているかはっきりさせる」という観点からすると、充分な捉え方ではないということです。

当初使ったお金がいくらであるかにかかわらず、あくまでも「このときにこの物件を手放したとしたら、手元にお金がいくら残るのか」が、今まさに投下している投資資金です。

「購入時に頭金をいくら使ったのか」という過去の投資資金にこだわらず、「売却をしたとすると手元にいくら現金を残すことができるのか」という現在の投資資金で、今このときの投資が最適なのかどうか、つまり未来に向かって最善なやり方なのかを見定めましょう。

自分の投資を見直す必要性

誰もがそうだと思いますが、投資物件を購入する際には、さまざまな観点で検討をするのではないでしょうか。

 

どの会社とつきあおうか?

 

本当にこの立地でいいのか?

 

どのぐらい頭金を入れようか?

 

ローンの組み方は?

などなど……。

そういった色々な検討をするなかには、間違いなく、その時点で選択可能な他の投資との比較もあるでしょう。

不動産投資と種類の違う他の投資との比較もあれば、「どんな物件を持つのか」という不動産投資のなかでの比較もあると思います。

そんな中で、その物件がもたらしてくれるであろう将来の安定収入や保険効果、資産分散効果などと、他の投資や他の物件を比較検討した結果、「その段階で使える100万円をその物件に投資する」という決断をしているのです。

このようにはっきり意識しているかどうかは別としても、物件を購入する時点では少なからず比較検討する投資家が、なぜか物件を所有した後は、自分のものとしたその投資を他の新たな投資対象と比べることをほとんどしなくなります。

もちろん所有して1~2年経ったぐらいでは購入時との変化が少なく、売買の手数料や税金のことも考えるととれるアクションは限られます。

ただ、5年や10年といったある程度の期間が経てば、市況は大きく変わることがあり、ローン残債は一定程度の減少が進み、売却時の税金も長期譲渡扱いとなります。

 

「今の投資の状態はどうなっているのだろうか?」

 

「投資している資金に対して充分な収益や効果が得られているのだろうか?」

 

「より自分にとって望ましい投資先はないのだろうか?」

あるべき姿で言うならば、投資が継続している間は定期的に、このような疑問をもって自らの投資状態を見つめ直し、自分の望んでいる目的やゴールのために、より効果的な他の選択肢が、もしも手の届くところにあるのなら、投下資金を一度取り出して投資先を変更することも検討すべきなのかもしれません。

投資家が自分自身のために使うことのできる資産と時間が有限のものである以上、その資産は自分のゴールを実現してくれる最適なところに投下すべきです。
そして投資活動を行える時間の間は、できるかぎりその最適な状態を保てるよう、定期的にメンテナンスする必要があるのです。

この記事の執筆者

 

【経歴】
新築ディベロッパーを経て、2005年に中古マンション専門会社の起業に参画、中核メンバーとして各部署責任者を歴任し、スケルトンリノベーションを強みとした売上100億円規模の業界オンリーワン企業への成長に貢献する。
2019年4月 リヴァティ株式会社を設立 代表取締役に就任

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