よくあるご質問

計算できないとヤバい!?不動産売却時の税金に注意!

売り出す前に手残り現金の試算をするべきか?

所有している物件を売却するのなら、売り出し価格の戦略を立てるために手元に残る現金の試算は必須と言えます。 なぜなら、いくらで売れたらいくら手元に現金が残るのかを把握することで、目標となる売りたい価格や、逆にそこまで下げてまでは売りたくない下限の価格といった、目安を持つことができるからです。

つまり、事前にそういう目安を持つことで、売り出し開始の価格や市場から反応が弱かった場合の価格見直しなどの価格戦略を、売り主自身が主導権を持って行えることにつながるのです。

手残り現金の計算自体は複雑なものではありません。
売ろうとしている価格から残っているローンや支払わなければならない手数料などを、順番に差し引いていくだけです。

ただ1つだけ、計算する際に注意を必要とするのが税金です。

買った価格と売った価格の差から必要経費を差し引いたものが利益となり、その利益額に税率をかけたものが支払う税金となるのですが、この計算に減価償却の概念が入ってくるので、事前に理解しておかないと、少しだけ難しく感じるかもしれません。

■売却依頼をした仲介業者は説明をしてくれないの?

そもそも売却仲介の現場でこういった税金の話が当たり前のように行われていて、ほとんどの仲介業者がその試算までサポートしてくれるなら、売主が自分で計算するとか面倒なことは考えなくても良さそうです。
ただ、残念ながら現在はそのような状況にはありません。

仲介現場で税金の説明があまり行われていないのは、大きく次の2つの理由があるためと考えられます。

①投資用物件の売却と違い、自宅用物件の売却では税金がかかることがほとんどないので、そもそも一部の営業マンは税金のことを理解できていない

これは比較的大手と呼ばれるような不動産仲介業者の、とくに若手の営業マンに当てはまることが多い話かもしれません。

投資用物件を専門で扱っていないかぎり、一般的な不動産仲介業者がメインで取り扱う物件は、自宅用物件(自己居住用物件)となります。

とくに支店間の競争や与えられている目標が厳しい大手仲介業者の営業マンは、価格帯の大きな物件を数多くこなす必要に迫られています。

そのため、会社や支店単位としては投資用か居住用かを問わず、手当たり次第に、所有者に向けて売却仲介依頼のDM送付を頻繁に行っていても、営業マン1人ひとりは投資用物件の売買にそこまで力を注いでいません。

そして、自己居住用物件の譲渡所得税については、ほとんどの場合、その譲渡益に対して3,000万円の特別控除が適用されるなど、よほど値上がりをして売却するようなケースでないかぎり、税金の計算のことを考える必要がありません。

こういったことから、業務経験の浅い一部の若手営業マンは、投資用物件を売却した際の税金計算について理解していないのです。

②「税金がかかる」というネガティブな話は、売却意欲をしぼませる可能性があるので、一部の不動産業者はできるかぎりこの話題に触れないようにする

売却になにかしらの興味をもっている見込み客に、売り出しを考え直させる可能性のある税金の話にフォーカスしてほしくないという思いを、一部の、特に数字を上げることに熱心すぎる仲介業者はもっています。

仲介業者の売上は、見込み客が売り出してくれて成約になることで、はじめて発生するためです。

とくに減価償却費の話も含めるとなると、実際に得られる利益からイメージする以上の税金を支払うことになるため、積極的に説明をしてくれる仲介業者はさらに少なくなります。

こういった説明に及び腰な仲介業者が税金について触れる場合は、「成約になった価格そのものに税金がかかるわけではなく、あくまでも利益が出た金額に対して税金がかかるだけですよ」といった感じで、ウソを言っているわけではないのですが、あたかも税金の影響が小さく聞こえるかのような説明にとどめることが多いように見受けられます。

このように、売却活動のパートナーである仲介業者が「売主側から働きかけられることなく、税金についての説明を充分に行ってくれている」とは言えない状況にあります。

その一方で、実際に売却を行って譲渡益が出た場合にどうなるかというと、翌年の確定申告の義務は当然ながら売主に生じます。

国税庁のホームページなどを見れば、不動産を売却した際の譲渡所得税の計算方法なども載っていますので、仲介を請け負った際に税金の説明をしなかったからといって、専門家としては不十分かもしれませんが、仲介業者に重大な法的責任があるとまでは言えません。

そして、売却するときに「表面的に利益があがってないように見えるので税金を支払う必要がない」と誤解していたとしても、減価償却も含めての計算結果によっては、翌年の確定申告で納税する義務を免れることはありません。

あくまでもその責任は、当事者である売主本人にあるわけです。

おおよそでも大丈夫なので、売主が自分で計算できることが大切です。

税金についてある程度の知識をもっておけば、目の前の営業マンや不動産業者が、どのくらい専門的な知識に精通していて顧客を思いやってくれているのか見定めることもできるかもしれません。

売却を終えた後の確定申告のタイミングで後悔しないために、そしてなによりも主導権をもった売却活動を実践するために、税金の試算を含めた手残り現金は、投資家自らが計算できるに越したことはないのです。

この記事の執筆者

 

【経歴】
新築ディベロッパーを経て、2005年に中古マンション専門会社の起業に参画、中核メンバーとして各部署責任者を歴任し、スケルトンリノベーションを強みとした売上100億円規模の業界オンリーワン企業への成長に貢献する。
2019年4月 リヴァティ株式会社を設立 代表取締役に就任

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