自宅に届く「あなたの物件を〇〇万円で買います」というダイレクトメールについて説明します
マンションオーナーあるあるだと思いますが、みなさまがすでにマンション経営を実践している方だとしたら、
「売却の査定をしてみませんか」「今が売りどきですよ」「売却するならお任せください」「あなたのマンションを買いたい人がいる」などなど、
内容はそれぞれかもしれませんが、こういったダイレクトメールが頻繁に自宅に届いているのではないでしょうか。
このページではこういったダイレクトメールの信頼性などについて説明します。
ダイレクトメールの目的
弊社代表の寺内も、個人名義で複数戸の物件を所有していますので、大げさではなく毎日のように色々な会社からこういった郵便物が届いており、その内容は社内で共有されています。
なかには、具体的に○○万円で購入希望の方がいる、など明確な金額が提示されているものもあって、その金額が買った当時の価格や自分のイメージよりもかなり高かったりすると、おっ、などと嬉しくなってしまいますよね。
さて、こういう魅力的な金額が提示された情報、本当なのでしょうか?
はい、これは皆さまのご推察の通り、大半がそうではないと言ってしまってよいでしょう。
こういったダイレクトメールの目的は、その業者を通じて物件を売り出してもらう媒介契約をとることにあります。ですので、そこに書かれている嬉しくなるような高い金額は、おとりであるとみなすのが無難です。
そんなに高く売れるなら~、ということで問い合わせをしてみると、何とか安い価格で媒介契約を結ばせようと働きかけてくる、もしくは売り出した後に色々と理由をつけて大幅に価格を下げさせようとする、そういう可能性が高そうです。
皆さまは購入者として投資マンションを探すときに、不動産業者に対して具体的なマンション名をあげて、しかも○○万円なら買います、などと金額を提示して探してもらいますか?
おそらくしないですよね、希望を伝えるにしても、大まかな価格帯や利回り、エリアや築年数もしくは部屋の広さぐらいまでではないでしょうか。個別のマンション名をあげて金額を提示して業者に希望を伝えるのは、よほど熟練した投資家だけでしょう。
なぜ自分に送られてくる?
よく知られていることかもしれませんが、こういったダイレクトメールは、第三者であっても数百円さえ払えばかならず取得することができる登記簿謄本から、住所と名前を調べて一斉に送ってきているものとなります。
そもそもマンションの家賃や管理費、修繕積立金など、投資マンションを評価するうえで重要な情報をほとんど知らずに、手当たり次第に送ってきているものです。
明確な金額はどこから?
特に投資用物件では、その家賃や毎月のコストから計算する収益性がはっきりしていなければ、明確な金額を提示できるはずがありません。
このように、嬉しくなるような高い価格のダイレクトメールは残念ながら信頼に値しないものですが、逆によくこんな安い金額を堂々と提示してくるなぁ~、といったものもあったりします。これは最初から買い取り転売業者などへ卸すことを前提としている価格と考えられます。
この場合は、送付元の業者が家賃や管理費修繕積立金などをはっきりと分かっていなかったとしても、これだけ安ければどこかの不動産業者が絶対買うでしょう、という価格提示ですので、○○万円で買いたい方がいます、というのは本当の情報とも言えるのですが…。
ダイレクトメールの呆れるケース
また明確な金額提示までうたっていなかったとしても、色々とツッコミどころの多いダイレクトメールは他にもあります。
たとえば「相続で受け取った現金の使いみちを考えている投資家がいる」「開業医が節税対策を目的に年内中に予算○○万円で探している」など、いかにも前向きで購入を急いでそうな希望者を抱えているといった内容のものです。
こういったものについても、不動産業者の立場から考えてみると、本当に今まさに投資マンションを購入したがっている顧客を抱えているのなら、レインズへ掲載されていて今すぐ紹介することができる売りものの中から物件を探してくればいいだけです。東京23区というくくりだけでも常時1,000件を超える投資物件が売り出されているのです。
きれいごとを言えば、その購入者を大切に考えてあげるなら幅広い選択肢の中から選ばせてあげればよいでしょうし、そうでなかったとしても、早くその方に優良な物件を紹介できないと、ほかの仲介業者を通じて物件を購入されてしまい、自社の売上がゼロになってしまう可能性もあるわけです。
売ってくれるかどうか分からない所有者宛に、わざわざダイレクトメールを送り時間をかけてまで売り物件を探しているとしたら、それは「購入を希望している顧客はいるのですが、当社は両手仲介にこだわっていて売りものがないので、あなたの物件を売らせて下さい」と宣言しているようなものです。
両手仲介ばかり追いかけているということは、売主が望む「より高くなるべく早く」ではなく、「(安くてもいいから)とにかく早く両手の売上」を第一に考えているということです。
売主としてはなるべく付き合わない方が良さそうな不動産業者とも言えてしまいます。
さらにしつこいようですが、こういったダイレクトメールでよく見かけるのは、仲介手数料の値引きをうたっているものです。
「当社に売却の依頼をしてもらえればキャンペーン期間中にかぎり仲介手数料を半額やゼロ円にします」などといったうたい文句が目立つように書かれていたりします。
ほかのぺージでもふれていますが、仲介手数料を値引きする、特に無料にするなどという場合は、かならず買主側から仲介手数料を取る必要があり、それはつまり囲い込みを前提で考えているということに他なりません、注意が必要です。
投資家が売却についての情報にふれる一番身近な機会は、このような自宅に大量に送られてくるダイレクトメールと言えるかもしれません。
そこに書かれている内容のレベル感は様々で、そのすべてを頭ごなしに否定する必要まではありませんが、ダイレクトメールをきっかけに問い合わせや取引を行う際には、充分気をつけるようにしてくださいね。
ワンルームマンション売却時の譲渡所得税について知りたい方は、